ユマニチュード(介護分野で注目されている技術)の応用

「ユマニチュード」というフランス発祥の介護技術のことについて調べる機会がありました。
自分の祖母は、自分が生まれるずっと前に、若年性アルツハイマーで亡くなっています。色々と考えるところがありました。

ユマニチュードの哲学

このユマニチュードは「人とは何か」という哲学が根底にあって、「ケアされる人」でも「ケアする人」でもなく、「ケアする人とケアされる人との良い関係を如何にして築くか」というところに着眼点があります。
たとえ認知症の人だとしても、「人として尊重」して、「できることは自分でしてもら」いつつ、助けるべき所は助ける、そこから発展して「固まってしまった関節をほぐす技術」など多くの技術で構成されています。
このユマニチュードですが、最初に私が思ったのは「社員研修」や「学校教育」「子育て」などへの応用でした。
もう一度立ち戻って、ユマニチュードが中心とするのは、「ケアされる人」でも「ケアする人」でも「病気」でもなく、「ケアする人とケアされる人との良い関係を如何にして築くか」という「絆=他者との関係性」です。

ネット依存にユマニチュードは有効か?

この他者との良好な関係性こそが、人間としての尊厳を支えるものだとすれば(ユマニチュードにおける定義)、インターネット依存症(SNS依存症)は、この関係性を過剰に追い続けた結果の病気(=自分という人間の存在を確かめたい欲望が過剰になった結果)ということになります。
では、良好な関係の再構築を図るユマニチュードは、このインターネット依存症などにも応用が利くのではないか、私はそう考えています。
ユマニチュードにおける4本の柱は、「見る」「話す」「触れる」「立つ」です。つまり、リアルが想定されています。ICTは「触れる」ことや「立たせる」ことはできないかもしれませんが、「見る」に関して言えば、カメラの設置位置と視線との関係を補正することで目を見て話すことは実現できるかもしれません。
そして、リアルで触れ合うことを加味すれば、ICTとリアルによって何らかの解決策が見いだせるのではないか、そんなことを考えています。

ふるさとの都会から離島に移住して

というのも、お店も信号も警察も医者もない離島に住んでいて、周りは認知症になりかかったお年寄りしかいないし、話し相手は夫だけ、買い物もほとんど行かれない状況に長くあった末に、うつを煩い、インターネット依存症に近い状態になっている自分を顧みた結果なんです。
「都会=働く場所 vs 田舎=癒やしの場所」というのは、地方から出てきた人の勝手な妄想です。私のふるさと横浜は、日産の業績悪化とともにベッドタウンと変貌し、地方からの流入者によって多くの素敵な部分を失ったと思います。田舎と同じような、下町の人間関係は失われつつあります。
人間は、やっぱりリアルに近い状態で他者とつながっていなければ不安になると思うんです。
高校を卒業と同時に、地主さんから追い出されて不便な場所に引っ越したんですが、そのとき私は浪人という身分だったんです。
学校にも行かず、予備校にも行かず、地元の友達もいなくて知り合いもいなくて見ず知らずの住宅街で浪人生活をしていて、どんどん壊れていく自分を感じました。
やっぱり、人間って人とつながってないとダメなんだろうなと今痛烈に感じています。
こういうことって、自分が体験してみないと分からないし、ユマニチュードを開発した人の着眼点ってすごいなぁって思うんですけど、実はアリストテレスが既に紀元前から「人間はポリス的動物」と言っていて、「関係性」に着眼していたんです。
こういう演繹的な発想はいかにも大陸的なので、帰納的な発想に偏りがちな私にはとても新鮮でした。

主体的な選択こそが人間のアイデンティティ

ユマニチュードでは、「無理強いしない」というのが原則にあるんです。要するに「嫌がっている人を無理矢理お風呂に入れない」とか、そういう感じの介護でのことですが。
それは「意思を尊重する」ことと同義で、私の座右の銘たる
It is our choices, Harrry, that show what we truly are, far more than our abilities.
ハリポタの一説、「為人(ひととなり=どんな人間か)というのは、能力なんかじゃなくて「何を選ぶか」なんだよ、ハリー」と全く同じことで。
ユマニチュードのキモである「絆」が、ハリポタではLoveと言われていただけであって。
まだ考えがまとまりませんが。そんなこと考えてます。

手術後、体調が全然もどりません

仕事を減らしたことによって、経済的・精神的にはよりいっそう苦しくなり、体力も戻らずに焦りばかりが募ります。
ユマニチュードを今最も欲しているのは自分なのかもしれません。

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